ヤンタオのビル

ヤンタオ

遠藤ッ!!!
これはどういうことアルかッ!!?

「みやび旅」で「なぜ、あの温泉情報サイトには「須原」を取り上げた記事がひとつもないのか?その理由を徹底的に調べてみた」という記事が公開されたことを知り、遠藤と井上に対して怒るヤン

遠藤

は、はあ・・・。

遠藤

(お、おい!!
井上、どうなってるんだ!?)

井上

(あ、あの・・・ですね、私が調査したところによりますと、どうやらバズボンバーがみやび旅に寄稿した記事のようです・・・)

遠藤

(はあああ!?
バ、バズボンバーだと・・・!!?)

ヤンタオ

おいっ!!!
遠藤、井上!!
お前たち、私の話を聞いているアルかッ!?

遠藤 井上

はっ、はいっ!!

ヤンタオ

「なぜ、あのキュレーションサイトには『須原』の記事がひとつもないのか?その理由を徹底的に調べてみた」

なんだこの記事はッ!!
こんな記事を書かれてしまっては、須原の知名度が上がってしまうアル!!

いや、そんなことよりも、もし、我がタオ・パイグループがこれらのキュレーションサイトに関与していることがバレてしまっては大変なことになるアル・・・。

ヤンタオ

この記事を書いている「バズボンバーの伊藤」とかいう人物、こいつは一体何者アルか!?
Webメディアのほとんどは我々の息がかかっているというのに、こいつの頭は正気アルか!?

遠藤

お、恐れながら、バズボンバーは月間数千万PVの独立系のWebメディアをもっており、伊藤をはじめとしたバズボンバー社員ひとりひとりのTwitterのフォロワー数も数万に達しています。
そのため、大手広告代理店でも自由に操れないコンテンツ制作会社として有名でして・・・。

ヤンタオ

はあああああ!?
そんなに影響力のあるやつらだとますますマズイアル!!
な、なぜ、そいつらを監視していなかったアルか!?

遠藤

か、監視と言われましても・・・。
まさか、バズボンバーがみやび屋の味方につくとはまったくの想定外でして・・・。

ヤンタオ

そんなの言い訳アル!!

ヤンタオ

クビアルッ!!!
お前たちとの契約は今この瞬間をもって解除するアルッ!!!

遠藤

えええええっ!!!?
そ、そんな・・・!!!

ヤンタオ

そんなもこんなもないアルッ!!!

お前たちは今後、我々に一切関わらないようにするアルッ!!!
もし、タオ・パイグループとの関係を少しでも口にするのなら、命はないものと思えッ・・・!!!

遠藤

ええええ!?

ヤンタオ

さあ、早くこの部屋から出て行くアルッ!!!

遠藤

あ、あの・・・。
今月分の業務委託料はどのように請求させていただければよろしいでしょう・・・?

ヤンタオ

はああああ!?
何を血迷ったことを言っているアル!!
本来なら、お前たちが賠償金を支払う立場アルッ!!!

遠藤

そ、そんな・・・!!

黒服の男

おい、お前ら、早く出て行くんだ。

遠藤

な、なんだお前は!!
お、オレを誰だと心得る・・・!?

黒服の男

ヤン様はお忙しいんだ、失せろ、ダニめ。

遠藤

ダ、ダニ・・・!?

や、やめろ、離せ・・・!!

遠藤

ヤ、ヤン様ーッ!!!

バタンッ



ヤンタオ

くっ・・・。
サツキめ・・・。
ここまで私を愚弄するとは許さないアル・・・。

ヤンタオ

フフフ・・・。
いいだろう・・・。
今は勝利の余韻に浸っておくがいいアル・・・。

この代償は高くつくアルよ・・・。



その頃、みやび屋では

みやび屋の館内

ムツミ

しっかし、この記事・・・めっちゃバズってますね・・・。

高橋

はい・・・。
さすがバズボンバーというところです・・・。
まさか、彼らがこんな記事を上げてくるとは思っていませんでした・・・。

バズボンバーの記事

テキスト版は下記を確認

なぜ、某キュレーションサイトには「須原」の記事がひとつもないのか?その理由を徹底的に調べてみた

みなさん、こんにちは。
バズボンバー伊藤です。

バズボンバー伊藤

最近参加した合コンで、「あなたの顔、セミの抜け殻に似てますね」と言われました。

その発言が何を意図したものかは不明ですが、夏も終わりに近づき、まさにセミファイナルな今日この頃、あなたはお元気でしょうか?

さて、このたび、私は温泉好きが高じて、この「みやび旅」というメディアに記事を寄稿させていただくことになりました。

温泉好きが加速した結果、日々「混浴 初心者 オススメ」と検索する日々を送っている私ですが、最近、ネット上で温泉に関する情報を検索していると、あることに気付いたのです。

それは、“いくつかの旅行系キュレーションサイト”で、なぜか「須原」の情報が掲載されていないという事実です。

須原とは、温泉マニアにとって、まさに聖地というべき温泉地。
その清らかな泉質の魅力は言うまでもなく、日本の原風景を感じさせる歴史ある宿もたくさんあります。

そんな温泉の名所中の名所が掲載されていない!

なんで??

須原を掲載しないなんて、リクームのいないギニュー特選隊、サンジのいない麦わらの一味、シンゴジラから芯が抜けた普通のゴジラみたいじゃねーか!

そこで、今回、私は、国内にある50の旅行系キュレーションサイトを分析し、須原に関する情報が掲載されているサイトと、掲載されていないサイトとの違いをまとめてみました。

須原が掲載されていないサイトはいくつあるのか?
そして、なぜ、須原は、それらサイトに掲載されていないのか?

謎が謎を呼ぶ風雲急。

今回、Webを轟かせる20人の切り込みクリエイター陣にも本件に関するご意見をいただきました。
この記事を読んでどう思われるかはあなた次第です。

(~以下、省略~)

ムツミ

須原がキュレーションサイトから嫌がらせを受けていることに気付いて、それをネタに記事を書くなんて・・・。

高橋

私も驚きました・・・。



3日前

バズボンバーのオフィス

伊藤

高橋、記事が完成したから確認してくれ。

高橋

・・・!!!
こっ、この記事は・・・!!!

高橋に記事を渡す伊藤たちとそれを見て驚く高橋

田中

むしゅしゅしゅ。
須原のことを調べていたら、どうも不自然なことがたくさん見つかったのでしゅ。

伊藤

思わず笑っちまったぜ。
須原って場所は一体、何をしでかしたんだ?
キュレーションサイトから、軒並み締め出されてるみたいじゃねーか。

高橋

いえっ、須原は何も悪くないんです・・・!

実は・・・

伊藤

まあ、理由はどうでもいいさ。
オレたちゃ、とにかく“権力”ってやつが大キライでな。
人前ではいいカッコしている大企業さまが、こんな子供みてえな嫌がらせをしているとあっちゃあ、オレたちバズボンバーの導火線に火がつくのも時間の問題だったってわけさ。

高橋

伊藤さん・・・!

山本

嗚呼、インターネットとは本来、日陰に生きる者に光を当てるための力のはず。
その力を悪用し、逆に日陰を増やそうとする輩には、天罰を受けてもらうしかないのです。

高橋

山本さん・・・!

田中

むしゅしゅしゅ。
なんだか、オレたち正義の味方っぽい感じになりましたねぇ。

高橋

田中さん・・・!

高橋

みなさん・・・あ、ありがとうございます!

た、ただ・・・。

伊藤

ただ?

高橋

こんな記事を書いたら、バズボンバーのみなさんが狙われてしまうのでは・・・?

伊藤

だから、おもしれーんだよ。
こういう輩は権力と圧力で何でも押さえ込めると勘違いしてやがる。
その思い上がりを言葉の力で粉々に打ち砕いてやるのさ。

へへへ、楽しいじゃね~か。
言葉の武器としての可能性をこんなに試せる機会はね~ぜ。

高橋

(ひ、ひえええ・・・)

高橋

あ、あと心配なのが、今回のコンテンツから受ける印象です。
いつものバズボンバーさんみたいなおもしろコンテンツじゃないことが気になっていて・・・。
バズボンバーさんのブランディング的に大丈夫なんでしょうか・・・?

伊藤

ああ?
ブランディング、なんだそれ?

・・・高橋、おめー、オレたちのこと、何も理解してねーな。

高橋

へ?

伊藤

オレたちの理念は「バズでボンバーでハッピー」よ。

高橋

バ、バズでボンバーでハッピー・・・?

田中

むしゅしゅしゅ。
ブランディングも何も、オレたちはたくさんの人がハッピーになれるコンテンツをただバズらせたいだけなのです。

山本

嗚呼、我々がおもしろコンテンツを作ることが多いのも、笑いこそが幸せを生むと信じているからなのだ。

高橋

(そ、そういえば・・・。
バズボンバーが作っているおもしろコンテンツって、誰かをバカにしたり、傷つけたりして笑いをとってないな・・・。

笑いこそが幸せを生む・・・。
そうか、そういうことだったんだ・・・!)

伊藤

その理念で言えば、今回のコンテンツはオレたちの理念に何にも反してねえ。

コンテンツの可能性を邪魔する既成概念、権力、圧力。
この記事がそういったものを取り払うきっかけになれば、もっとハッピーな世の中が期待できるだろ?

田中

むしゅしゅしゅ。
世の中を不幸せにするルールこそ、バズコンテンツの力で吹き飛ばしてやればいいのでしゅ。

山本

嗚呼、それこそが、「バズでボンバーでハッピー」。

高橋

みなさん・・・!



そして、現在のみやび屋

みやび屋の館内

高橋

(バズでボンバーでハッピー・・・。

バズボンバーのすごいところは、本当にコンテンツを爆発的にバズらせちゃうところだな・・・)

ムツミ

それにしても高橋さん、今回の記事、なぜこんなにバズっているんすか?
バズボンバーって人たちはそんなに人気があるんすか?

高橋

あ、ま、まあ、バズボンバーさんはWeb界隈ではそれなりに人気がある人たちなのですが・・・。
私もまさかここまでとは・・・。

ボーン

今回は彼らの影響力だけでバズっているわけではない。

ムツミ

ボーンのオッサン!!

高橋

バズボンバーの影響力だけでバズっているわけではない・・・?
ボーンのアニキ、それってどういうことだ?

ボーン

あいつらは今回の記事で、バズらせるための演出をしっかり行っている。

高橋

演出・・・?

ボーン

あいつらが今回の記事で意識していることを説明してやろう。
ムツミも聞いておけ。

ムツミ

あ、ああ!

今回、バズボンバーが意識していること

今回、バズボンバーは以下の3つのポイントを意識してコンテンツを設計している。

  1. 共感層の巻き込み
  2. 「客観性」の担保
  3. コミニュケーションにつながる演出
高橋

共感層の巻き込み・・・?

ボーン

そうだ。
やつらは今回の記事で、“世の中のキュレーションサイトによい感情をもっていない層”を巻き込むことに成功している。

Twitterで言及しているユーザーたちのプロフィールを見てみろ。
その多くがコンテンツクリエイターだろう。

ムツミ

た、たしかに・・・!
デザイナーやライターの人たちが拡散してくれてる!

ボーン

バズボンバーは、彼らが日頃抱いているモヤモヤした感情を刺激することによって、バズを起こすことに成功しているんだ。
「自分たちのコンテンツの著作権を侵害しがちなキュレーションサイトが、さらに悪どいことをしているなんてもう許せない」、そういった感情をかき立て、ソーシャルメディアの拡散につなげているんだ。

キュレーションサイトすべてが悪というわけではないが、コンテンツクリエイターへの敬意を欠いているものが多いことは確かだからな。

高橋

そ、そういえば、今回の記事では、バズボンバーの伊藤さんがクリエイターの意見を取り上げる形で、デザイナーやライターの人たちのコメントを多数掲載していた。
この時点ですでに「巻き込み」作戦が発動していたんだな・・・!

ボーン

ああ、そうだ。
記事で取り上げられたデザイナーやライターは、記事が公開されれば一緒になって拡散してくれるからな。
初期露出の方法としては鉄板だ。

ムツミ

これが巻き込み戦略か・・・!
もし、自分に発信力がなくても、ほかのひとの発信力を借りることでバズを狙えるってことか・・・。

ボーン

そして、2つ目のポイントだ。
バズボンバーは記事上で第三者の「巻き込み」を行うことによって、記事に多数の話者の視点を入れることに成功した。
つまり、記事の「客観性」を担保したのだ。

ムツミ

客観性・・・?

ボーン

バズボンバーはWeb界隈では名が知れているが、彼らが書く記事を初めて見る人たちからすれば、彼らの意見は見知らぬ他人の意見に過ぎない。
つまり、カンタンに信用するわけにはいかない。
場合によっては、文脈を切り取られて、自分たちが逆に炎上するリスクもある。
そこで彼らが考えたのは、さまざまなクリエイターの意見を掲載することだ。
信用が「個」に紐づいていない状態なら、「数」で担保すればいいのだ。

高橋

信用を「数」で担保する・・・!

ボーン

今回の記事では、バズボンバーの伊藤を含め、21人の話者が登場して意見を述べている。
この数を見れば、客観的に見ても、読者は信用を感じざるを得ないだろう。

ムツミ

へええ・・・。
たしかに、目の前の人ひとりが言うより、「みんなが言っていた」って言われるほうが信じてしまうもんな。

ボーン

そうだ。

そして、3つ目のポイントは、「コミュニケーションにつながる演出」を意識している点だ。

高橋

コミュニケーションにつながる演出・・・!?

ボーン

高橋、TwitterやFacebookで記事がシェアされる理由を憶えているか?

高橋

あっ・・・、たしか以前マツオカのサイトリニューアルのときに教えてもらったな。

えっと・・・。
思い出したぜ!
“記事を通して、ほかの人とコミュニケーションをとりたいから”だ!

ボーン

そうだ。
バズボンバーの記事では、ふとしたところにコミュニケーションにつながる演出が隠されている。
たとえば、「たとえ話」「メタ的な視点誘導」などがな。

高橋

「たとえ話」や「メタ的な視点誘導」・・・!?

ボーン

バズボンバーの記事の冒頭には、次のようなフレーズが入っていた。

“須原を掲載しないなんて、リクームのいないギニュー特選隊、サンジのいない麦わらの一味、シンゴジラから芯が抜けた普通のゴジラみたいじゃねーか!”

これは、ドラゴンボール世代やワンピース世代、そして、シンゴジラという映画を観た人たちにとっては、思わずクスリと笑ってしまうたとえ話だ。

そして、そういったたとえ話は、記事の内容如何を問わず、ソーシャルメディアに投稿されやすい。
誰かとコミュニケーションする際のネタとしてな。

ムツミ

コミュニケーションのネタ・・・!?

・・・!
なるほど、たしかに、「シンゴジラから芯が抜けた普通のゴジラって、シンゴジラのシンはその“芯”じゃねーだろ!」とかツッコんでしまいそうだもんな・・・。
で、そのツッコミの投稿を見たほかの人たちもクスっと笑ってしまうってわけか。

ボーン

そうだ。
拡散を意識した文章は、お堅い文章を書くよりも、外野がツッコミやすい“隙”を入れておくといいのだ。

ムツミ

“隙”・・・!

ボーン

また、この記事は、読者が心置きなくツッコめるように、「メタ的な視点誘導」も意識している。

高橋

「メタ的な視点誘導」・・・!?
メ、メタってどういう意味なんだ・・・?

ボーン

「メタ」とは「超越した」という意味を指す。
読者を自分たちと並列に扱うのではなく、読者を自分たちよりも上のレイヤーへ誘導し、読者が発言しやすい機会を与えているのだ。

高橋

発言する機会を与える・・・!?

ボーン

そうだ。
たとえば、今回の記事の場合、バズボンバーは結局のところ、自分たちの結論を述べていない。
「今回の記事を読んで、あなたはどう思われますか?」という形で、結論を読者に委ねている。
そういう形で記事を締められると、読者は自分の意見を発言したくなる。

それこそがまさにメタ的な視点への誘導だ。

高橋

な、なるほど・・・!

ボーン

さらにいえば、バズボンバーが書くほとんどの記事は、記事の冒頭で自分たちの存在を小さく見せる演出を入れることが多い。
今回の記事でいえば“セミの抜け殻に似ていると言われた”という表現が、まさにその演出だ。

自分の存在を小さく見せることで、読者に“上から目線”をもたせられる。
そうなれば、読者は思い切ってツッコミやすくなる。

ムツミ

へえええ・・・。

ボーン

そして、その演出は、「こいつは偉そうだ」という読者の感情を和らげることにつながり、その結果、自分が不必要に“叩かれる”危険性も減る。

人間というものは、偉そうにしている人物、ドヤ顔の人物に対して攻撃的になる傾向があるからな。

そういった人間の感情を見越しての演出だ。

高橋

・・・!!!
あの最初の文章にそんな狙いがあったなんて・・・。
ふざけて書いているだけだと思っていた・・・。

ボーン

“記事をいかにして気持ちよく読んでもらうか?”
バズボンバーはその点にこだわり続けている。

ムツミ

バズボンバーってすげえな・・・!

ボーン

そうだ。
そしてなにより、そういった演出を“わざとらしく感じさせない”ライティング力こそがやつらの強みだ。

演出家の狙いが透けてしまう演出ほどサムイものはないからな。

ムツミ

へえええ。

高橋

(た、たしかにバズボンバーのコンテンツはすごい。
でも、そのバズボンバーの狙いを的確に分析し理解しているボーンのアニキもやっぱすげえや・・・)

サツキ

ちょ、ちょっと!!!
みんな、大変なの!!!

ムツミ

アネキ!?
どうしたんだ!?
そんなに慌てて・・・?

サツキ

さっきから、みやび屋を取材したいっていうメールが殺到しているのよ!

ムツミ

えっ!?

ムツミと高橋の元へ駆けてきたサツキと彼女から話を聞いて驚く、ムツミと高橋。

サツキ

バズボンバーさんが書いてくれた記事を見て、須原やうちの旅館に興味をもってくださった方が大勢いらっしゃって。
ニュースサイトの記者さんやブロガーさんから、「もっと詳しく話を聞きたい」って問合せが殺到しているの!!

ムツミ

そいつはすげーや!!

ヴェロニカ

いい流れね。
ただ、ここは少し落ち着いたほうがいいわ。
これから先、あなたたちが発信するあらゆる意見はいろいろなメディアに載ることになる。
中にはあなたたちの意見をゆがめて発信するメディアも出てくるかもしれない。

だから、対応は慎重に考えていきましょう。

サツキ

そ、そうですよね・・・!

ガラガラガラ

三桜館の旦那

サツキちゃん、いるかい?

サツキ

この声は・・・?

三桜館の旦那

サツキちゃん、急に押しかけてすまんね。

サツキ

三桜館の旦那さん・・・と、須原の旅館の皆さん!!

三桜館の主人をはじめとする気概に満ちあふれた須原の旅館の経営者たちと、それを見て、嬉しそうな表情で驚くサツキ

三桜館の旦那

えーと・・・。

サツキちゃん、オレさあ、たたもうと思ってた旅館、実はもう一度、がんばってみようと思うんだ。

サツキ

えっ・・・?

三桜館の旦那

実はさ、この間、うちの旅館にひとりのお客さんが泊まってよう。
そのお客さんに「どうしてうちの旅館のことを知ったんですか?」って聞いたら、みやび屋のホームページの中にあった記事を見たって言うんだ。

ムツミ

(あっ!「栃木 温泉」で上位表示している記事のことかも・・・!)

三桜館の旦那

サツキちゃん、須原の集客のためにいろいろとがんばってくれていたんだな。

サツキ

そ、そんな・・・。

三桜館の旦那

こんなに若い子らが須原のためにがんばってくれてんだ。
オレたちもまだまだがんばんなきゃいけねえって思い始めてよ。

須原の旅館の旦那

そうさ、オレたちも、この須原を盛り上げるためにがんばるぜ!
サツキちゃんたちばかりにがんばらせるわけにはいかねーもんな。

サツキ

皆さん・・・!!

三桜館の旦那

それで・・・相談があるんだ。
よかったら、サツキちゃんたちのやっている・・・そのあれだ、Webマーケティングってやつをオレたちにも教えてくれねーか?

サツキ

えっ・・・!?

サツキ

(ボーンさん、ヴェロニカさん・・・どうしましょう?)

ボーン

・・・。

ヴェロニカ

(いいんじゃない?
ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために、よ。
須原がいい方向に向かうのなら、ノウハウを皆に共有することは賛成よ)

サツキ

(ありがとうございます・・・!!)

サツキ

皆さん、ありがとうございます!

あ、あのですね・・・。

ボーン

オレから一言、言わせてもらおう。

三桜館の旦那

な、なんだ、あんたは・・・!?

ボーン

サツキとムツミ、このふたりは、旅館を営む中、ムリをしてでも時間をつくってオレのノウハウを体得した。
こいつらが自分たちの大切な時間を使って、お前たちにノウハウを教えようというんだ。
中途半端な覚悟でのぞむんじゃないぞ。

サツキ

(ボーンさん・・・!)

三桜館の旦那

わ、わかってるとも・・・!!
サツキちゃんたちに苦労をかけないよう、必死でついていくぜ!

サツキ

みなさん・・・!
一緒に須原を盛り上げていきましょう!

須原の旅館の旦那 三桜館の旦那 須原の旅館の旦那

おおーっ!!!



その夕方

みやび屋の外でジェイクと電話して、険しい顔をしているボーン

ボーン

・・・ジェイク、オレだ。

ジェイク

ボーン、どうだ?
チップは見つかったか?

ボーン

・・・いや、まだだ。

ジェイク

そうか・・・。

ボーン

もし、このままチップが見つからない場合・・・破壊することも考えている。

ジェイク

・・・破壊・・・?

ボーン

ああ。
「キャッシュオールクリア」を発動する。

ジェイク

キャッシュオールクリア・・・だと!?
お、お前、あの技は・・・!

ボーン

・・・分かっている。
できることなら使いたくはない。

ボーン

今、オレのまわりにいる者たちが一緒になってチップを探してくれている。
なんとかチップを見つけられるよう、最善を尽くすつもりだ。

ジェイク

おいおい・・・。
まさかおめー、チップの秘密をバラしてねーだろうな・・・?

ボーン

大丈夫だ。
チップの秘密までは明かしていない。
安心しろ。

ジェイク

だったらいいけどよ・・・。

ジェイク

じゃあ、電話を切るぞ。

ボーン

ああ。



その夜

ムツミ

ふう・・・。
しかし、チップ、ほんとに見つからねーな・・・。
これだけ探しても見つからないなんて・・・。

ヴェロニカ

・・・今夜も手伝わせてしまって、ゴメンなさいね・・・。

ヴェロニカとムツミは、みやび屋近くの車道にてチップを探していた。

チップを探すムツミとヴェロニカ

ムツミ

いやいやいや!
ゴメンなさいだなんて、そんな・・・。
オレたちのほうこそ、ヴェロニカさんたちには本当に感謝してるんだぜ。
みやび屋が復活したのは、ヴェロニカさんとボーンのオッサンのおかげだもんな。

あっ、ヴェロニカさん、そこ、さっきオレがチェックしたとこ。

ヴェロニカ

あ、そうだったかしら。
だんだん、探す場所もなくなってきたわね・・・。

ムツミ

(それにしても、ヴェロニカさんとふたりで「チップ探し」って、なんだかデートみたいだな。
このままチップが見つからないほうがうれしかったりして・・・。

・・・って、いやいや、何を考えているんだ、オレ!
ヴェロニカさんのためにしっかりチップを探すぞ)

ヴェロニカ

・・・ムツミさん、前から聞きたかったことがあるの。

ムツミ

えっ?
な、何だい?
(もしかして、恋人はいるの?的な質問だったりして・・・)

ヴェロニカ

音楽活動って・・・もうしないの?

ムツミ

えっ?
音楽活動・・・?

あ、ああ、もうきっぱりあきらめたぜ。

東京で好き放題させてもらったし、未練はないさ。

ヴェロニカ

そうなのね。
なんだかもったいないわ。

ムツミ

もったいない・・・?

ヴェロニカ

だって、音楽には音楽のよさがあるじゃない。
ライティングだけでは伝わらないものがこの世にはたくさんあるのよ。

ムツミ

えっ・・・?

ヴェロニカ

よかったら今度、ムツミさんの音楽を聞かせてくれないかしら。

ムツミ

あ、ああ。

ヴェロニカ

・・・?

ムツミ

どうかしたのか?

ヴェロニカ

あの停車している車の運転手・・・?
さっきからこっちを見つめているような・・・。

銃で狙いをつける男

ドキューン!!ドキューン!!

カキーン!!カキーン!!

ムツミ

わわわわわわ!!!

ヴェロニカ

銃撃!?

ヴェロニカ

ムツミさん!!
ケガはない!?

ムツミ

あっ、ああ、バッグに入れておいた、ボーンのオッサンがくれたキーボードが防いでくれたみたいだ・・・。

真っ黒で重そうな、黒い板のようなキーボード

ムツミ

・・・って、な、何者だよ、あいつ!!?
なんで銃で狙ってくるんだ!!?

12号(シルエット)

(・・・銃を跳ね返しただと・・?
よかろう)

ブルンッブルンッ

ムツミ

エンジンがかかった!?

ヴェロニカ

危ないっ!!

ムツミを轢こうとする車とムツミを抱きかかえて、車を交わしたヴェロニカ

キキーッ!!

ムツミ

ヴェ、ヴェロニカさん!!

ブルンッブルンッ

ムツミ

ま、また向かってくる!!

ヴェロニカ

茂みに逃げ込みましょう!

ムツミ

お、おうっ・・・!

12号(シルエット)

!!

12号(シルエット)

ちっ・・・見失ったか・・・。

12号(シルエット)

仕方がない。
仕切り直しだ。

ブロロロロ・・・と走り去っていく車

ムツミ

い、行ったみたいだ・・・。

ムツミ

い・・・一体なんなんだ、あいつ・・・!?
銃で狙ってきたり、車で轢こうとしてきたり・・・。

ムツミ

・・・・!?

ヴェロニカ

・・・痛っ・・・。

ムツミ

ヴェ、ヴェロニカさん!!!!?

腕を押さえて痛そうにうずくまっているヴェロニカ。それを見て、焦るムツミ



みやび屋の館内

ボーン

ヴェロニカは大丈夫か?

サツキ

ボーンさん!

は、はい、さっきお医者さまに診てもらいました。

ヴェロニカ

・・・ボーン!

サツキ

あっ!
ヴェロニカさん・・・!

ヴェロニカ

心配かけてごめんなさい・・・。

ボーン

・・・ヴェロニカ。

腕にギブスをはめたヴェロニカと申しわけなさそうに立つムツミ

ムツミ

ヴェ、ヴェロニカさんは俺をかばってケガしたんだ・・・。
本当に申し訳ねえ・・・!

ヴェロニカ

大丈夫よ。
軽い捻挫だったし。
ムツミさんが轢かれなくてよかったわ。

ボーン

ムツミの話によると、何者かがお前たちの命を狙ったということだな。

ヴェロニカ

ええ。
ただ、私ではなく、ムツミさんだけを狙っているようだったわ。

ボーン

ムツミを・・・?

サツキ

で、でも、一体誰が・・・。

ムツミ

お、おれ、世間の人に恨みを買うようなことしてねーからな!

ヴェロニカ

銃を撃ってくる時点で普通じゃないわ・・・。
ボーン、もしかして・・・。

ボーン

・・・ああ・・・。



ラーメン屋の屋台

遠藤

・・・。
はああ・・・。

井上

遠藤様、ため息などをつかれていると、ラーメンが伸びてしまいますよ。

遠藤

井上・・・。
オレたちって、なんでこう、うまくいかないんだろうな・・・。
あのバズボンバーの記事が原因で、ほかのクライアントも取引中止を伝えてきた・・・。

井上

まあまあ、遠藤様。
どんなときも不屈の闘志をもち続けるのが我々の強みだったではありませんか?
さあさ、元気を出して、また新しい事業を考えていきましょう。

遠藤

ふっ・・・。
お前にはいつも励まされるわ。

なるほど、新しい事業・・・か。

ボーン

まだ懲りずに悪だくみをするつもりか?

井上

そう、懲りずに悪だくみを・・・。

遠藤 井上

ぎゃあああああっ!!!
ボ、ボーン!!!!!

ラーメン屋の屋台に現れたボーンに驚く遠藤と井上

遠藤

ボーン、な、何の用だ・・・!?
な、なぜ、我々がここにいることを知っている・・・!?

ボーン

お前たちの会社に足を運んだら、社員が教えてくれたぞ。

遠藤

な・・・、余計なことをしおって・・・!

遠藤

・・・。
ボーンよ、貴様、タオパイグループに見捨てられた我々を笑いに来たのだろう・・・?

ボーン

(タオパイグループから見捨てられた・・・?)

ボーン

・・・ムツミの命を狙ったのは、お前たちだろう?

遠藤

ムツミの命?
何のことだ・・・?

遠藤

(おい!井上、ムツミって誰のことだ!?)

井上

(あっ、みやび屋の女将の弟でございます・・・!)

遠藤

(ああ、あのサツキとかいう女将の弟か)

遠藤

そのムツミだか、ツボミだかよくわからんやつがどうしたって言うんだ?

ボーン

(・・・)

ボーン

(・・・こいつらの目はウソをついていない・・・)

ボーン

(・・・ということは、ヤンか)

遠藤

おいっ!
貴様、私の話を聞いているのか!?

ボーン

お前たち、これからは真っ当なビジネスをするんだな。

遠藤

は、はああ??

あ・・・おい!どこへ行く!?
私を無視するな!



タオパイのビル

秘書

ちょ、ちょっと!!
なんですか、あなたは!?
勝手に入ってこられては困ります・・・!!!

バンッ!!

ヤンタオ

・・・!?
お前は・・・!?

ボーンがヤンの社長室に入ってきてヤンと対峙している

ボーン

お前がヤンだな・・・。

ヤンタオ

・・・貴様、何者だ?

ボーン

俺の名はボーン・片桐。
みやび屋の宿泊客だ。

ヤンタオ

ボーン・片桐・・・?

・・・そうか、お前アルか!!
みやび屋に泊まりこみ、オレとサツキとの間を邪魔をしているWebマーケッターは!!

ボーン

・・・なぜムツミを襲った?

ヤンタオ

ムツミ・・・?
ああ、みやび屋のサツキの弟アルか。

襲ったとは一体何のことアルか?

ボーン

シラを切るな。
お前たちはヴェロニカも傷つけた。
オレのパートナーを傷つけた罰を受けてもらう。

ヤンタオ

はっはっは!!!
そうだったアルね!
ヴェロニカという女はお前をかばったらしいアルね!

余計な邪魔をしなければ、痛い思いはしなかったというのに。

ボーン

(オレをかばった・・・?
こいつら、ムツミをオレと間違えて襲ったのか)

ヤンタオ

12号はお前を仕留めるのに失敗したが、そのお前がノコノコと足を運んでくれるとは好都合・・・。

ヤンタオ

サツキはお前には渡さないアルッ!!

ヤンタオ

者どもであえっ!!!
こいつをやつざきにするアルッ!!!

刺客たち 刺客 刺客たち

ははっ!!

ヤンのまわりを取り囲むようにして並ぶ刺客達

ヤンタオ

ボーンとやら。
この私に挑んだことを後悔させてやるアル。

今日が貴様の命日になるアルよ!

刺客たち

へっへっへ・・・。
どう料理してやろうか~。

刺客

これだけの人数を相手にビビって言葉も出ね~か~。

刺客たち

まずは腕から折っちゃおうかな~。

刺客たち 刺客 刺客たち

ヒャッハー!!!

ボーン

・・・。

ボーン

貴様らにはもったいないが、この技をくれてやろう。

ボーン

・・・はあああああああ!!!!!

ボーン

オレの校正を受けて、人生を更生してこい。

フィードバックループ!!!

刺客たち 刺客 刺客たち

!!!?

ボーンの打撃技によって吹き飛ばされる刺客たち

フィードバック!!!フィードバック!!!フィードバック!!!

刺客たち 刺客 刺客たち

うぎゃあああああ!!!!!

フィードバック!!!フィードバック!!!フィードバック!!!

刺客たち

も、もう、校正は十分・・・。

刺客

です・・・。

バタバタバタッ
ヤンタオ

なっ、なんだとっ・・・!!!!?

ヤンタオ

(こ、こいつは何者アル・・・!?)

ヤンタオ

お、お前、ただのWebマーケッターではないアルな・・・!?

ボーン

オレは“世界最強”のWebマーケッターだ。

ヤンタオ

せ、世界最強のWebマーケッターだと・・・!?

ヤンタオ

フ・・・。
フハハハハハ!!!

ヤンタオ

来るアル!!
12号!!

ザッ・・・・
ボーン

お前は・・・?

12号

・・・。

ヤンタオ

こいつの名は「12号」。
我が社が抱える殺戮マシンアル。

ボーン

何・・・?

ヤンタオ

貴様はWebマーケッターらしいが、この12号は元ライターアル。

こいつは前職で記事のライティングのしすぎで腱鞘炎になって以降、タイピング恐怖症となり、二度とタイピングができなくなったアル。
しかし、タイピングで鍛えた強靱な腕力があったため、我がタオ・パイグループが刺客として雇ってやったアル。

ライター出身の刺客はこいつで12人目アルが、こいつは歴代の刺客の中でも最強アルよ。

ボーン

元ライターの刺客・・・。

ヤンタオ

こいつがお前を墓場に連れていってくれるアル。
覚悟するアル。

ヤンタオ

さあ!!やってしまうアル!
12号!!

12号

仰せのままに・・・。

12号と対峙するボーン

ボーン

・・・言葉の力で光を紡ぐはずのライターが悪の道へ染まるとは、世も末だな。

12号

ふっ・・・。
今やWebライティングの世界は、記事の量産につぐ量産で、阿鼻叫喚の地獄と化している。
オレはヤン様に雇ってもらったことで、その地獄からすくい上げてもらったのだ。

ボーン

・・・。

12号

最強のWebマーケッターと名乗る男よ。
お前には1文字0.1円の地獄で苦しむライターたちの恨みを込めた、我が“量産型ライティング拳法”で沈んでもらおう。

ボーン

・・・!

ボーン

(こいつ・・・できる・・・)

12号

全力で行くぞ。

ボーン

・・・来い。

ヒュウウウウウ

12号

推敲校閲衝ッ!!!

ボーン

フィードバックループ!!!!!

お互いに技を繰り出すボーンと12号

バシィッ!!!!!!!

12号

・・・!?

12号

オレの推敲校閲衝を止めた・・・だと・・・!?

ボーン

・・・はぁああああああああああ!!!!!

フィードバック!!!フィードバック!!!フィードバック!!!

バシバシィッ!!!!!!!

12号

ぐわああああああああああッ!!!!!

12号

グフッ・・・。

まさかオレの推敲と校閲をさらにフィードバックしてくるとは・・・。

12号

フィードバックに終わりはない・・・か・・・。

ガクッ

倒れる12号と、勝者として立つボーン

ボーン

・・・今度は光の道を歩くライター(Lighter)に生まれ変われ。

ヤンタオ

・・・!!

ヤンタオ

くそっ・・・!!!
12号め、やはり元使い捨てライターだけあって、肝心なときに役に立たないアル!!

ボーン

・・・ヤン・タオ、お前はライターへのオマージュに欠けている。
多くのメディアを所有していようが、ライターに敬意を払わぬやつに、メディアを運営する資格はない。

ヤンタオ

はああ?

ボーン

お前に使い捨てられてきたライターたちの恨み、その身で受けよ。

ボーン

はああああああ・・・!!!

ヤンタオ

・・・!!!

ボーン

フィードバックルー・・・!!!

ヤンタオ

ぎゃ、ぎゃあああああ!!!!!
ちょ、ちょっと待つアル!!!!!

ボーン

・・・。

ボーン

ここにきて命乞いか?


ヤンタオ

う・・・ううううう・・・。

ボーン

ヤン・タオよ。

ヤンタオ

は、はいっ・・・!!!

ボーン

サツキたちから手を引け。

ヤンタオ

くっ・・・!!!
そ、それは・・・!!

ボーン

これまでのお前との会話はすべて録音した。
もし、お前がこのまま手を引かないというのなら、この録音ファイルをお前の息のかかっていないライターたちへ回し、今回の一件を記事にしてもらう。

レコーダー

ヤンタオ

記事・・・!!?

ボーン

言葉はクチコミとなり、ネット上に残り続ける。
そうなれば、お前の会社は終わりだな。

ヤンタオ

くっ、くそっ・・・!!

ボーン

オレが【沈黙】を守り続けるかどうかは、お前の回答にかかっている。

ヤンタオ

ち、沈黙・・・!?

ボーン

3秒以内に答えろ。

3・・・2・・・。

ヤンタオ

あ、わわわわわ、わかったアルッ!!!
サツキにはもう手を出さないアルッ!!!

く、くそーっ・・・!!!

ボーン

・・・よし、それでは、その引っ込めた手を、今度は別のことに使ってもらおう。

ヤンタオ

べ、別のこと・・・?



3日後

みやび屋の館内

サツキ

あっ、ボーンさん、この3日間どこへ行かれていたんですか?
ヴェロニカさんが気にされていましたよ。

ボーン

・・・ちょっとな。

ボーン

・・・サツキ。
もう、ヤンにビクビクする必要はないぞ。

サツキ

えっ・・・?

ボーン

このサイトを見てみろ。

サツキ

こ、これは・・・!

タオパイグループが運営している旅行クチコミサイトで、須原の特集ページが立ち上がっている。

サツキ

「TRAVEL UP」に須原の特集ページのバナーが・・・!?

ムツミ

へっ・・・!?
こ、このサイトってたしか・・・。

サツキ

須原の情報が消されていたサイト・・・。
ど、どうして急に須原をPRするようなページが・・・!?

ボーン

「TRAVEL UP」はしばらくの間、須原に関するPR記事をアップし続けるだろう。

ムツミ

へっ!!?

サツキ

い・・・一体何が・・・。

ボーン

ヤンに少しお灸をすえてやったまでだ。

「TRAVEL UP」の運営はバイソン社からタオ・パイ社に移行され、須原のPRに全面的に協力してくれることとなった。
そして、ヤンは日本法人を残し、本社へ戻った。
もうお前に手を出すことはないだろう。

サツキ

えっ・・・!?

ムツミ

な、なんだかよくわからねえが、ヤンがアネキから手を引いたってことは本当にうれしいぜ!!

サツキ

あ・・・ありがとうございます!!

ムツミ

ボーンのオッサン・・・。
ありがとな。

ボーン

・・・俺はとくに礼を言われることはしていない。
ヴェロニカの仇を討ったまでだ。

ヴェロニカ

ボーン!

ボーン

ヴェロニカ、ケガの調子はもういいみたいだな。

ヴェロニカ

サツキさんとムツミさんが適切な応急処置をしてくれたおかげよ。

サツキ

いえいえ・・・!
そんな・・・!
ヴェロニカさんが元気になられて本当によかったです・・・!

サツキ

・・・あの・・・ボーンさん。

戻られてすぐで恐縮なんですが、おっしゃっていたチップの捜索期限まで日がなくなってきています。
さっき、ヴェロニカさんともお話ししていたんですが、私たち、これまで以上にチップの捜索をお手伝いしたいと思っているんです。

ムツミ

そうさ・・・!!
オレたちのためにここまでしてくれたんだから、絶対にチップを見つけてやるぜ!!

ヴェロニカ

サツキさん、ムツミさん、ありがとうね。

ボーン

・・・。

高橋

ボーンのアニキ!
オレをシンガポールから呼んだのも、チップを探すための時間が必要だったからだろ?
だったら、みやび屋のWebまわりはオレにすべてまかせてくれ!

ボーン

高橋・・・。
では、たのむぞ。

高橋

了解っ!!

サツキ

ボーンさん、私もムツミも、今から時間がとれます!
すぐにチップを探しに行きましょう!

ボーン

よし。
まだ探していない場所がいくつかある。
手分けして探すぞ。

サツキ ムツミ

はいっ!!



そして、チップを探す日々は続いた

チップのGPS作動停止まで、あと3日

草むら

サツキ

ムツミ!
このあたりって探した?

ムツミ

ああ!もうそのあたりは捜索済みだぜ。
あっちのほうはまだ見てないから、アネキはあっちを頼む!

サツキ

わかった!

ヴェロニカ

私はこっちを探すわね!

ムツミ

はい!

シュオオオオオオ!!!

サツキ

こ、この風はっ!!?

エモーショナルライティング!!

ヴェロニカ

ボ、ボーン!?
なぜ、こんなところでエモーショナルライティングを・・・!?

焦って「エモーショナルライティング」を使いチップを探すボーンとそれを見て慌てるサツキとムツミとヴェロニカ

ムツミ

わかった!
空中でタイピングをすることで、指先から風を起こして草を飛ばし、チップを見つけやすくするつもりなんだ・・・!

サツキ

さすがボーンさん!
まさに草の根を分けてまで探すということなんですね!

ヴェロニカ

で、でも、この風だとチップも吹き飛んでしまうわ・・・!

ムツミ

・・・たしかに。

ボーン

・・・エモーショナルライティング!!
・・・エモーショナルライティング!!!
・・・エモーショナルライティング!!!!

ヴェロニカ

・・・。

ヴェロニカ

サ、サツキさん、ムツミさん、チップが空を舞うかもしれないから、足元だけでなく、空も見上げながら作業して!

サツキ ムツミ

はっ、はいっ!!!

ヴェロニカ

(ボーン・・・焦りすぎよ・・・!)



ムツミ

ふうっ・・・。
結局、今日もチップは見つからなかったな・・・。
・・・捜索期限まであと3日か。

ムツミ

でも、ボーンのオッサンも焦って探すほどのチップって、一体何のチップなんだろう・・・。

ムツミの部屋

ムツミ

ま、チップの正体はともかく、ボーンのオッサンたちにはすげーお世話になったんだ。
絶対に見つけてやらなくちゃな。

ムツミ

・・・それにしても、みやび屋は、ボーンのオッサンが手伝ってくれた記事、高橋さんが見つけたライターが書いた記事、そして、バズボンバーが書いた記事。
ライティングの力で救われたな。

ムツミ

そういや、ヴェロニカさん・・・。

ヴェロニカ(回想)

だって、音楽には音楽のよさがあるじゃない。
ライティングだけでは伝わらないものがこの世にはたくさんあるのよ。

ムツミ(回想)

えっ・・・?

ムツミ

ヴェロニカさんが言っていた“ライティングだけでは伝わらないもの”って・・・。

ムツミ

ま、いいや。
なんにしても、オレは音楽をやめたんだからな。

部屋の片隅に置かれたギターを見つめるムツミ

ムツミ

とはいえ、まだこいつを大切に持ってるってことは、オレも未練が残ってんのかな・・・。

・・・そろそろ、こいつともお別れして、旅館経営に真剣に向き合わないとな。

ムツミ

・・・そういや、結局、バンドの解散前に買ったこのエフェクター、一度も使わなかったな。

エフェクター

ムツミ

ああ、いけねえ、いけねえ。
もう、オレは音楽をやめたんだぜ。

ムツミ

・・・決めた。
今からこいつを弾いて最後だ。

こいつを弾き終えたら、オレは音楽から完全に離れることにする。

ガチッとアンプとギターをシールドでつなぐ

ポロンッ

ジャジャジャジャジャーン

ヴェロニカ

あら・・・?
ギターの音色・・・。

ムツミさんかしら・・・?

ヴェロニカ

!!?

ヴェロニカとボーンがiPadの画面を見て何かに気づき、まるで電流が走ったかのような表情を見せている

ヴェロニカ

ボーン、GPSが作動したわっ!

ボーン

!?

ヴェロニカ

こ、これはっ・・・!?
みやび屋・・・!?
ムツミさんの部屋を指している・・・!

ボーン

ムツミの部屋だと・・・?

ダダッとムツミの部屋へ駆けていくボーンとヴェロニカ



ジャジャジャジャジャーン

ボーン

ムツミ、入るぞ。

ムツミ

ど、どうしたんだ、ふたりとも!?
そんな真剣な顔をして・・・。

あ、すまねえ、オレのギターの音がうるさすぎたか?

ヴェロニカ

ムツミさん、ちょっと失礼するわね。

ボーン!
GPSはこの小さな箱みたいな機械の中で反応しているみたい。

ボーン

・・・!
エフェクターか。

エフェクター

ムツミ

???

ボーン

ムツミ、そのエフェクターの中を開けさせてくれないか?

ムツミ

こ、このエフェクター?
べ、別にいいけど・・・。

エフェクターに組み込まれているチップ

ヴェロニカ

ボーン、これ・・・!

ボーン

ああ、チップだ。
まさか、こんなところにあったとはな・・・。

ムツミ

えっ?
えっ・・・?

ボーン

ムツミ、このエフェクター、どこで手に入れた?

ムツミ

ど、どこで手に入れたって・・・。
半年くらい前、秋葉原にあったカスタムメイドのギターショップでだよ。
店主がギークな人で、どっからかパーツを仕入れてきては、マニアックなエフェクターを作っているお店さ。

ボーン

秋葉原・・・。

ヴェロニカ

もしかして、あの爆発後の現場を片付けた業者が、チップを見つけて、何かの部品かと勘違いして秋葉原のパーツ屋に流したのかもしれないわ。
それをギターショップの店主が見つけ、プリント基板か何かと勘違いして、このエフェクターに組み込んだ・・・。

ボーン

そのようだな。

ムツミ

???

ボーン

・・・ムツミ、そのエフェクター、俺たちに譲ってくれないか?

ムツミ

こ、このエフェクターかい?
こんなのでよければ、プレゼントするぜ。

ボーン

・・・感謝する。

ムツミ

ボーンのオッサン、ヴェロニカさん、さっきから話しているチップって・・・。

ボーン

ああ、これだ。

ムツミ

えっ!!!??

ええええっー!!!!!!?



2日後

みやび屋の朝

サツキ

ボーンさん、ヴェロニカさん、行ってしまわれるんですね・・・。

ボーン

ああ。
おまえたちのおかげでチップは無事に回収できた。

サツキ

いえいえ!
私たちのほうこそ、ボーンさんたちには本当にお世話になってしまって・・・。
このみやび屋、そして、須原がよみがえったのは、ボーンさんとヴェロニカさんのおかげです。
なんてお礼を言えば・・・。

ヴェロニカ

いいのよ。
私たちにとっても素敵な出会いだったわけだから。

ボーン

サツキ、ムツミ。
みやび屋のオウンドメディアは軌道に乗った。
だが、闘いはこれからだ。
他社に負けないよう、記事を投下していくことを忘れるな。

ムツミ

お、おう!!

ボーン

高橋、もうしばらくはサツキとムツミのサポートを頼むぞ。

高橋

ああ、あとは俺にまかせてくれよな!

ボーン

サツキ、ムツミ。
みやび屋が完全に復活するかどうかは、これからのお前たちのがんばり次第だ。

・・・そこで、俺からの最後のアドバイスを伝えておく。

ムツミ

最後のアドバイス・・・!

ボーン

「言葉の力」を過信するな。

サツキ ムツミ

“言葉の力を過信するな”・・・!?

ボーン

ああ。

お前たちは、オレの教えのなかで言葉の強さを知った。

しかし、この世には万能なものなどない。

たとえば、この須原に来る外国人旅行者のことを考えてみろ。
日本語の深みは、日本語に慣れていない外国人旅行者には通じない。

だから、彼らには言葉よりも、ビジュアルやサウンドなど、言葉以外のコンテンツでこの須原の魅力を伝える必要があるのだ。

そもそも、須原に広がる雄大な自然の美しさ、谷川の心地よいせせらぎ、そういったものの魅力を言葉で表現するのは難しい。

言葉で表現できないものは、言葉以外で表現すべきなのだ。

サツキ

“言葉で表現できないものは、言葉以外で表現すべき”・・・。

ボーン

たとえば、写真や音楽の力などでな。

サツキ

写真や・・・。

ムツミ

音楽の力・・・!



みやび屋を去るボーンとヴェロニカ。遠くから手を振るサツキとムツミ。その横に立つ高橋

ボーン

なんとかチップを期限内に回収できたな。

ヴェロニカ

ほんとね。
よかったわ。

RRRRRRRR ジェイクに電話をかけている

ボーン

ジェイク、遅くなってすまない。

ジェイク

おお、ボーン!!
チップは本当に見つかったんだろうな!?

ボーン

ああ。

ジェイク

かーっ!!!
心配したぜっ・・・!!!
ナイスだな!!

ボーン

明日の飛行機でそちらへ向かう。

ジェイク

分かった。

・・・いよいよ始まるな。
オレたちの本当の闘いが。

ボーン

・・・ああ。



数週間後

NYの風景

ヴェロニカ

ボーン、ジェイク、準備ができたわ。

パソコンに向かっているボーンとジェイク、ヴェロニカ

ジェイク

いよいよ、始めるんだな。

ボーン

ああ、そうだ。
・・・この世界を救うために・・・。

ヴェロニカ

・・・あら?

ボーン

・・・何かあったか?

ヴェロニカ

ムツミさんからメールが届いたわ。

・・・ふふふ、ムツミさん、最近、須原のテーマソングを作曲したそうよ。
音楽の力でも須原の魅力を発信していきたいって。
ムツミさん、今は旅館経営の傍ら、音楽プロデューサーとしても活動していて、須原を拠点として活動しているミュージシャンのプロデュースもしているみたい。

ボーン

そうか。

ヴェロニカ

あら、添付ファイルがあるわ。

ヴェロニカ

“ボーンのオッサンへ。
ライティングに悩む人たちを救うために、ボーンのオッサンから得た学びを曲にしてみた。
ぜひ聞いてみてくれ”
って。

ヴェロニカ

ムツミさんの作った曲、流してみる?

ボーン

ああ。
オレたちの闘いのプレリュードとなる曲ならいいんだがな。

ヴェロニカ

ふふふ。

Eternal Writing

(作詞・作曲・編曲:宮川ムツミ)

(I’m)looking for the words giving my soul
紡いだ思いは非連続のフレーズの果てに

消えない言葉を探し歩き出した
それはリライトの歩み

文脈もなく荒れるように書き続けた
揺れる表記を抱え

目に映る輪郭線は 論理を超え誘う Entrance to a sentence
導入 序破急 起承転結 貫くリード

(I’m)looking for the words giving my soul
紡いだ思いは非連続のフレーズの果てに見出しになる

(I)wanna find the words giving my soul
張り詰めたフィードバック・ループ超えて
ずっと刻み続ける
言葉の彼方へ

伏線のないエピソード 振り払って
僕は記憶を空ける

比べることもできず ただ立ち尽くした
それはまとめの罪過

切れ間なく奏でられた ブレスのないメロディー Entrance to a dungeon
冒頭 本文 補足 結論 振り向くエビデンス

(I’m)looking for the words giving my soul
隠した想いは終わりのないメタファーの果てに飲み込まれる

(I)wanna find the words giving my soul
止めどないフィードバック・ループ超えて
ずっと走り続ける
言葉の彼方へ

言葉の中に潜む論理の中
感情揺るがすエピソード抱いて
余白のない空は色を付けられない Free up margin
So 推敲のムコウに

(I’m)looking for the words giving my soul
紡いだ思いは非連続のフレーズの果てに見出しになる

(I)wanna find the words giving my soul
張り詰めたフィードバック・ループ超えて
ずっと刻み続ける
永遠に

(I’m)looking for the words giving my soul
隠した想いはオリジナルの言葉をまとい輝いてく

(I)wanna find the words giving my soul
止めどないフィードバック・ループ超えて
ずっと走り続ける
コトバの彼方へ

(I’m)looking for the words giving my soul
Force out the words


ヴェロニカ

この歌詞・・・。

ボーン

歌の力で伝えるライティングの本質か。

ヴェロニカ

一本とられたわね、ボーン。

ボーン

・・・フッ。

ムツミがギターを弾き、そのそばで歌を歌う女性。そして、NYで何かの作戦を実行しようとしているボーン・ヴェロニカ・ジェイク

沈黙のWebライティング -Webマーケッターボーンの激闘- FIN

ヴェロニカ

あ、そういえば!
チップの秘密は・・・この本にこっそり書くかもよ。

緊急速報!!沈黙のWebライティングが待望の書籍化! 本編ストーリーにはない「解説コーナー」も追加。 新時代のWebライティング教本ここに誕生!